COMICO ART MUSEUM

暖冬ですね…

大分県由布市にあるCOMICO ART MUSEUMに行きました。湯布院町に位置するこちらは現代アートの美術館で2017年に開館し、2022年に別館オープンとの事で、以前から気になっていた場所です。

湯布院は由布岳を望む温泉のまち、流れる川や湖には温泉水が混じり、冬の空気との温度差がある日には湯気立ち、神秘的な風景を楽しむことができます。朝、散歩をしておりましたらシラサギが居ました。綺麗な水の証拠ですね。

COMICO ART MUSEUM 外観

前日の雨が溜まっていた屋根から降り落ち、美術館の壁面にある水場に落ちて水輪(すいりん)が出来るのもまた美しかったですが、こちらは計算したものではないとの事でした。

整然とした作品が美術館という箱の中で静かに語ります。絵画ではなく写真です。いつまでも見ていたくなります。立体も普遍・永遠的なデザインというべきでしょうか、こちらのトップに乗っている形が上にほんの少し伸びたデザインになっていて、まるで見えない何かに繋がっているような何とも言えない魅力でした。

杉本博司さんの作品。

ドクロが描かれていました。様々な表情があります。

村上隆さんの作品ではお花のキャラクターが有名ですが、どちらも大量に描かれているのが特徴です。作品のお花やドクロの表情の違いは一つ一つ個性と共に一人一人への愛情なのではと思いました。

数字が床に吸い込まれていく宮島達男さん作品「Time Waterfall」

窓の外は湯布院の自然風景、お天気だと光が取り込まれ、作品とコラボレーションします。こういった作品の展示は、見るたびに表情が変わり、瞬間瞬間が一期一会になりますね。隈研吾さん手がけた建築含めて、作品を魅せるデザイン力を感じます。

本館→別館→本館2階へと順路を辿ります。

奈良美智さんの犬の作品はかなり撮影者が多く、なかなか人がいない時に移すのが大変でした。名和晃平さん、森万里子さんの作品が豊かな自然の中にマッチしておりました。この日は晴れておりましたが、曇りや雨の日、違う季節も気になります。

美術館鑑賞の後は金鱗湖を周りました。湖では鯉やフナが優雅に泳ぎます。その後は天井桟敷(亀の井別荘のカフェ)でお茶をして余韻に浸りました。大分県の湯布院へ行こうとなった時は、現代アートに触れながらの観光もお勧めです。

COMICO ART MUSEUM

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霧島アートの森

人生で行きたい所というリストがあります。以前お会いした方がリスト化していますと言われたのをきっかけに始めておりました。

なかなか北方面も行けてないですが、南方面も難しいなと思いながらリストに打ち込んだ「霧島アートの森」は鹿児島県にあります。2~3週間前より情報収集、切符の手配、天気予報を張り込みつつ、週末に行って参りました。

車の運転ができないので、九州新幹線と在来線、町営バスを利用して到達しました。なかなかの移動時間ではありますので、金曜夜には鹿児島中央駅まで行き、土曜日に観て、日曜は不測の事態に備えてのスケジュール。

JR日豊線で鹿児島中央駅から隼人に向かう車窓。山に向かいますが、まずは海を見ながらの移動。

田園風景は稲が成長中、緑がまぶしかったです。

こちらが霧島アートの森の入口、町営バスがすぐ近くに止まってくれます。

入口から見えておりますが、まずは草間彌生さんの作品がドーン。

緑の縄とピンクのホースは企画展示の一部。館内含む園内に張り巡らされていました。

こちらの美術館は館内と館外に分かれて展示があり、それぞれ料金設定しています。

館外=野外の常設展のみの入場だと大人320円(2023年8月時点)という優しさ。近かったらしょっちゅう行っちゃうなぁと思いました。

館内では特別企画展「飯川雄大展」の展示作品が開催中(2023年9月10日で終了)でした。ピンク色の猫がかなり主張していますが、小林さんというようです。見えたり見えなかったり野良猫のように登場する猫さんです。美術館の館全体に引っ付くように展示されていて「何々!?」とビックリさせてくれます。

先程のピンクのホースはこの猫さんに繋がっているようでした。館内の企画展ではこの作成風景が映像で見ることができました。

午前中に着いたので暑くなる前にとまずは野外展示から見始めました。

こちらは埋まってるの??置いてあるの??な作品。羊に見えます。

公園の遊具のような作品がありました。実際に遊べます。

こちらは何だか不思議、フレーム(額)が散乱中。ファッションのビジュアル撮影にも良さそうです。

映えます。記念撮影にもお勧めの作品。野外の作品は撮影可です。アート作品とコラボレーションしてみてくださいね。

さらに奥へと進みます。

入りたくなるようなアプローチ。この先に何が見えるのでしょうか。

ワクワクしながら歩きます。くり抜かれた細い場所から光が差し込んでいて美しい…

先の方は現地でお楽しみくださいね。

「森の中でもアートごろごろ」

遺跡?作品?突如目に入ってきます。

さすがはアートの森ですね。至る所に作品があり、広場から森の中へと続いていきます。道はありますが、歩きやすい靴で行くのがベターです。

自然の中にあるアート。季節の移り変わりで見え方が違ったり、自然との調和も面白さの一つです。

こちらはお洒落な水飲み場。エントランスからは大分歩いたかなと思う辺りに設置してあり、リフレッシュに良いタイミングで出現。

この犬の作品もあちこちで出会えます。まるで一緒にアート散歩をしてくれているようです。野外は大分回ったところで、屋内に移動します。

企画展「飯川雄大展」

館内は至るところに縄や紐が展示。やはり置いてあったり出っ張っていると引っ張りたくなるのが心情。

実は触って引っ張ることが出来ます。館内で撮り忘れておりますが、最初に写真にあったグリーンの縄は館内へと続いております。外から中、中から外へとこの紐達は動くことが出来るのです。まるで生きているみたいです。

一人では無理だなと見ていると、美術館員さんが一緒にと手伝ってくれました。力及ばず大変でしたが、美術鑑賞で体力使うという意外性が楽しかったです。

屋内と屋外の間に展示されている草間彌生さんの作品。

最後にカフェに寄ろうと向かうと草間彌生さんの水玉ヒールがお出迎え。カフェとミュージアムショップは併設された形で在ります。カフェのテラス席からは野外の作品が見えておりました。特等席かもしれませんね。

リストにあった行きたかった場所

もう一度行きたくなり、再び下に追加いたしました。

霧島アートの森

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大地の芸術祭2022

2023年春夏を発表するファッションウィークが8月29日より9月3日まで開催しておりました。最近は映像で拝見させて頂いてます。

RakutenFashionWeek 公式HP

三菱一号館美術館での「ガブリエル・シャネル展」や、六本木ミッドタウンで行われていたルイ・ヴィトンの展覧会も足を運び、ファッションに触れておりますが、ブログを更新しておりませんでした。

ページ上部リンクのWebmagazineG (Bloger)は、2020年よりアップしておりませんので、こちらにファッション以外のカテゴリーも記録して行きます。

前置きが長くなりましたが、本日はアートに関しての内容です。

東京から越後湯沢駅まで新幹線で1時間20分ほど、開催地である新潟県の越後妻有「大地の芸術祭」へ行って参りました。

ここ2年程なかなか遠出が出来なかった方が大半だと思います。

そんな想いもあり急な個人的な企画はちょっととツアーに乗っかりました。オニヤンマ飛翔コース。写真のシールをチケット代わりに身に付け周ります。

9月5日からの新コースでした。ドキドキ・ワクワクのスタートです。

ガイドさんからは大きな美術館にこれからご案内します、移動はバスとなりますとのお話。

バス中から観た作品。街の至る所に点在しており、眠っている暇はありません。

最初にバスが止まり出会った作品はこちら。

家の記憶

一軒家の中に張り巡らされた糸。人が最低限通れるように天井を中心に展示となりますが圧巻でした。

タイトルからいくつもの記憶の交差を表現したとも読み取れますが、私自身は糸の量感と交差されてできる細かい空間の多さに息苦しさを感じました。

次は森の小道を通って自然の中に表現された作品へ。

見えて来ました。と同時に見られています。

9月ですが蝉の音が響き、歩くと汗ばみ日陰は少し冷んやり、風が吹くと気持ちよい日でした。自然の中でマスク越しでも美味しい空気でしたが、作品から発する空気は重く感じました。

紅葉など風景の変わる季節にも観たい作品です。

次に訪れたパレス黒倉ですが、はい、携帯の充電が切れてしまい写真に収めることが出来ませんでした。写真は蔦屋書店に展示してあった作品。仕事の合間の休憩で目に入り目が離せませんでした。こちらのようなガラスの組み込み型作品が家の中の柱だったり、小さい石だったりで展示してありました。囲炉裏に展示してあった吊り下がった作品は揺れるとガラス部分の投影も不思議な感じでした。

街中で出会った作品と大地の芸術祭で再開。嬉しい偶然でした。

次は再び一軒家を美術館化した作品。大人の遊び場というのがしっくりきましょうか。ここで暮らしたいと言われそうなツボにハマる方はいらっしゃると思います。明解・分かり易い表現だと思いました。

もうすぐ100年になるという古民家でランチ。地元の野菜を使用し、新潟と言えば美味しいご飯と一緒に。(何と写真が上手く撮れておらず) 木と土で出来た優しい家に優しい人々、美味しいごはんと3拍子揃っております。

2階ではインスタレーション作品。美しくて高級店のディスプレイの様でした。素材は紙とのこと。

次は民俗学的にも考察された、一軒家を作品化したもの。この家に存在するものを利用しながら最新の座椅子を考えたもの。

アクリル素材とライティングを使用したいかにも現代アートが昭和らしい鏡台やサイドボード、帽子や布団に至るまで民家に残ったものと不思議な調和と空気を生み出し、融合を感じました。

こちらは使われなくなった学校の講堂を使った作品。現地で暮らす人々を写実的に描き、教会の壁画のように仕上げています。舞台上では映像と音声。周囲には写真も飾られています。講堂へ続く廊下には生徒さん達の写真、校長室や図書室などもあり、小さな可愛い学校内の作品でした。

コースの最後は越後妻有 里山現代美術館へ。美術館の壁面や外回りにも作品の数々。


暑い日でしたので、入ってよいですか?と言いたくなる水を使った広大な作品。美術館自体が回廊建築で真ん中がすっぽり空いて折、作品を四方から見ることができます。まただまし絵のようになっているので館内2階から眺めるよう勧められました。雨の日はどうなのだろうと気になりました。

現代アートと言えば音の表現も多いですね。映像で撮ってはおりませんが、音と水の表現。低音で耳では拾えませんでしたが、好みの作品。

鳥が飛び立っているようですが、さて何でしょう。

最後の写真は一つ一つに口語が入った作品。一つ紐を引っ張り当たったものを貰えるお祭りの露店を思い出しました。制作エピソードは伺っておりますが、ここでは語らないように致します。とても時間が足りなくて全ての作品を見ることは叶いませんでした。それでも普段使わない脳が活性化し、充分に感性を受け取った一日でした。

越後妻有の夕日(車中より)

写真の中で作品名、アーティスト名が入ってしまっている所はありますが、基本的にその部分は避けての記録でした。アート作品は見た人が感じたままに受け取っていただければという事で、ご自身の五感でご判断いただければと思います。

こちらのブログがネタバレというよりは、じゃあ実際に行ってみようと行動に繋がったり、どうしても行けない方へ作品の片鱗をお届けできていれば幸いです。

大地の芸術祭

 2022年11月13日(日)まで (火・水曜休み)

オニヤンマ飛翔コースは民家に上がることが多いので脱ぎ着しやすい靴、素敵な靴下で周られることをお勧めします。

※時代の進化に手持ちの携帯電話が付いていっておらず、写真の色合いがいろいろな部分はご容赦願います。

 

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MODE SURREAL 奇想のモード 装うことへの狂気、またはシュルレアリズム

東京都庭園美術館で行われている奇想のモード展に行ってきました。

現在は時間予約しての来館ですが、人数制限している分、一つ一つの作品をゆっくり観る事が出来ました。

庭園美術館は明治時代にアールデコ様式で建築された旧朝香宮邸です。

展示作品とその空間も一緒に楽しめますし、各部屋xテーマごと(Chapter1〜8)とイメージにあった展示をしているのも伺えます。

展覧会は撮影禁止ですが、Chapter9の「ハイブリッドとモード」では撮ることが出来ます。

写真は舘鼻則孝さんの「太郎へのオマージュ」アーティスト岡本太郎さんのオブジェをイメージさせられます。

立体作品に見えますが、代表作のヒールレスシューズのシリーズ。靴です。

下は串野真也さんの作品。

飛べそうな靴ですね。

脳裏に焼き付いているのは、玉虫の羽を無数に使用したヤン・ファーブルの甲胄(カラー)。気味悪くも見えるし、昆虫の自然の美しさも見えるし、襟の形となった全体感は装う事もできるし、アートとも言えるし、言葉で表すには難しい感覚でした。

別空間に1作品のみ展示。入口で簡易メガネを貰い、メガネを通して鑑賞します。光る蚕の糸で出来たドレスはANOTHER FARMの作品。

新館Chapter9に続くChapter8は、「和の奇想」ー帯留と花魁の装い

のタイトルで着物は参考、椎茸や小豆など食モチーフや百足や蝙蝠など帯留めでは珍しいものが展示してありました。大正時代のものが多く興味深かったです。

全体を通して身に付ける身に纏うものでは有りますが、どの作品も2022年現在の日常からは遠く、でも未だ身近なアイテムであり、とても考えさせられました。

ファッション、アート、建築、デザイン、装飾の歴史、文化、ジェンダー等、様々なジャンルの方が見て良かったと思える展覧会だと思います。

4月10日まで。

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マルジェラが語る映画

とても久しぶりに仕事の後、映画館へ向かいました。

ここ暫くは20時を過ぎて、どこかに滞留することは出来ないという認識でしたので、本当に映画が観れるのかしらと心配でした。

エレベーターとエスカレーターを乗り継いで、予約からチケットを発券、数人が会場前に待っていたので安心しました。

マルタン・マルジェラのブランドイメージはどんな感じでしょうか?

ブランドタグが4つのステッチ?

白くて美術館のような店舗?

ファッションショーは大抵、顔を覆ったモデル登場?

足袋型のブーツ?

どれもマルジェラのクリエイションのひとつですが、どこか抽象的。

それはマルジェラ自身が表立って出ていないからかもしれません。取材NG、撮影不可、どこまでもデザイナー本人は出てきません。

映画にはマルジェラの手がたくさん登場します。そして落ち着いていて心地良い声。終始、隣にいて話を聞いたり質問をしたり身近に感じますが、姿は出て来ません。

BOXを取り出してはその中身に纏わるストーリーが展開していきます。

またメゾンのプレスやクリエイター、ライターやブランドを取り囲む人々が登場し、ストーリーを盛り立てます。

マルジェラがアイディアや発想を語り洋服という形にすると、周囲が世の中向きに翻訳するような感じです。

もちろんファッションショーもあります。

初めてショーから、パリコレクションでのプレタ、オートクチュールと過密なスケジュールは他のメゾンと変わりありません。

しかし追いつめられるような気迫やストレスは感じず、プレッシャーも映画からは読み取れない、淡々とクリエイションを発表していく様子が伺えます。

これは他のメゾンとは違っていて、ある意味、健全な状況なのかなとも思えます。描かれてはいませんが、コレクションブランドは一人では出来ませんから、無論、サポートする側が優秀であることには違い無いと思います。

映画パンフレットより

何故これほどにマルジェラのクリエイションが指示されるのか。映画を観る前、映画中、映画後と考え続けました。

それは形あるものだけれど抽象的であり、その抽象的なものが人の生活に入り具現化。時間と共にその人に馴染む。

一見当たり前で普通であることを思考が何周もして辿り着いたら特別な普通だったと気付かされる。

その思考と追求のプロセス、探究心に魅了されているのかもしれないと思った映画でした。ご興味ある方は↓

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映画館サイト

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