映画ジョン・ガリアーノ

Christian Diorのクリエイティブ・デザイナーとして活躍、現在はMargieraのデザイナーであるJohn Gallianoの映画を観ました。

ファッションの勉強をしていた若き日に課題のために読んだジョン・ガリアーノの本、今でも思い出します(分厚く重い本で持ち歩けず図書館内で読んでました)。

大成功を収めていたバックステージでは何が起きていたのでしょうか。物事は意識して見ようとしなければ一方だったり狭い範囲しか見えていない事が殆どです。

もっと他方面から広い範囲で知りたくなり映画館へ。ポスターは映画館の赤い絨毯にマッチしていました。

こちらはドキュメンタリー映画で、学生時代は物静かで大人しい人柄であると言うストーリーからスタート。子供時代は自身が移民で英国に来たこと、兄弟家族のことも語られます。身の振り方を学べる友人との出会いから、すでに天才的な才能を開花させて行き、卒業後は流れるようにコレクション発表。勿論、資金的な問題は発生します。

数々の協力を得てコレクション発表を重ね、遂にはファッション業界の重鎮であるアナ・ウインターに認められます。

そこから2024年現在世界一の資産家LVMHのベルナール・アルノーよりDiorのクリエイティブ・デザイナーを任され大活躍。名実共に世界的に有名なデザイナーとなりました。

一旦メゾンに入るとコレクション発表にスケジュールは回って行きます。ウィメンズだけでなくオートクチュールにアクセサリー、自身名の冠ブランドも有り、ひとシーズンが終わると次々との流れになり、その中で次第に疲労していきます。

精神安定剤にアルコール、仕事中毒と依存が高まり、そんな日々が続けば人はどうなるでしょう。

いくら好きな仕事と言えども人間としてベーシックな生活や健康が保てなければ心身は崩壊するに違いありません。そんな多忙な中タイミング悪く、片腕だったチームの一員がドラッグで命を落とします。

そして極めつけにYOUTUBEで、人種差別的な発言をするデザイナーの姿が拡散。しかも同じ店で3回も酔っ払い失言があったとの事。

何か意図的にとも考える事はできますが、そこまで追い詰められているのに誰も近しい人は止める事は出来なかったのか…デザイナーとは裸の王様でやりたい放題なのか…考えさせられます。

映画は近年Diorメゾンを訪問するジョンの姿も映します。コレクションで発表したアーカイブを見て蘇る感情はどのようなものだったのでしょうか。

もしかしたらDiorへの復活も予想させるような流れでしたが同じように限界になるような働き方は決してして欲しくありません。

現職のマルジェラで健全な働き方を学んでいると良いですね。

またファッションに関わる皆さんや天才と呼ばれる人たちに関わる方は学校では学べないその関係性や触れ合い方を知るべきかもしれません。メゾンと言えども労働と賃金が発生する以上会社ですから、デザイナー自身の教育もすべきなのかも知れません。

全てでは勿論ないですが、映画によって多角的に見ることはできたと思います。登場した人物の中でモデルのナオミ・キャンベルがYOUTUBEの映像を「観てないし見たくもないわ」と言っていたのが印象的でした。信頼があればこその言葉ですね。

映画「ジョン・ガリアーノ 世界一愚かな天才デザイナー

個人的に印象に残っているこちらのショーを貼っておきます。

DIC川村記念美術館ロスコルーム

2024年9月某日、千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館へ行きました。

こちらはJRか京成佐倉駅から送迎バスで向かいます。

広大な敷地内にはレストランや売店があり、美術館鑑賞後に園内を巡るのも楽しみの一つ。

絵に描いたような噴水のある池
美術館入り口

こちらの美術館が2025年1月に閉館との情報があり、ショックが隠せません。

お気に入りは美術館所蔵ロスコルーム。画家マーク・ロスコの作品を一部屋に展示しており、部屋の空間ごとロスコの作品を体感できる。心情とのマッチングはその時々で違い、色が心地良い時や息苦しくなる時や、また少し暗めの照明で眠くなる時も。

毎シーズンとは言わないですが足蹴に通った美術館。散歩しながら緑に癒され心が落ち着いていく時間。

慣れているのか近くに来てくれました。

館内にはお茶室もあり、展覧会の作品に寄せた和菓子と抹茶のホッとする一時も楽しみの一つ。

お茶室からの風景

またレストランも敷地内にあり、こちらのデザートもコラボ企画があったりと食事も外せない楽しみです。現在は閉館を聞いて来館混雑もあり、キッチンカーも出ているとの事。

広大な庭や屋根のある休憩所もあるのでお弁当を持参しても良さそう。(海や山に行くのと同じでゴミ等は持ち帰りましょう)。

緑や花で溢れていました

展示は西川勝人「静寂の響き」を開催中。2025年1月26日(日)まで。

館内と窓からの風景や採光を活かした展示のレイアウト、作品の魅せ方、素晴らしかったです。

世の中では芸術は不可欠ではないといわれたり、ビジネスを考える上では無駄のように扱われたりもします。しかし感性を育て心を豊かにしクリエイティブ思考になる、そんな場として大切であり他にはない空間と考えています。

この美術館の行く末を見守りたいと思います。

※9月末日、閉館が3月まで延長との記事を拝見しました。

DIC川村記念美術館